(代表取締役 渡邊裕一)
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(図1) 賃金カーブ(時給ベース)>>拡大画像はこちら

私は2008年まで2年間、創業社長として外資系人材紹介会社から雇われ、日本法人の立ち上げと経営を経験致しました。その間1000人を超える転職・就職希望候補者の皆様、100社を超えるクライアント様とお会いしてゆく中で、候補者の希望と実際の企業のニーズにあるギャップがある事に気がつきました。
多くの意欲的で有能な候補者の皆様は、常に自身のスキルとキャリアの向上を望みその為の努力を惜しみませんが、結果として転職回数が増えていく事になります。意欲と能力に富んだそうした候補者の皆様は決して安易に転職を繰り返す所謂「ジョブホッパー(Job Hopper)」ではないのですが、履歴書上の転職回数だけからは容易に見分けがつきません。結果、せっかく経験も積んで広い視野と高いスキルを得たのに、年齢が上がるほど採用側から敬遠をされ、良い仕事に就く機会が少なくなって来るのです。場合によっては能力不相応に非正規社員としての採用に甘んじ、他の正規社員の皆様と同等かそれ以上のレベルの仕事を任されながら、相対的に非常に低い賃金に留められるケースも散見されました(図1)。

 

2014年時点で、役員を除く総雇用者の中で非正規雇用者の割合は過去最高の37.4%に達しています(図2 資料出所: 総務省「労働力調査(詳細集計)」。この割合は過去10年間で25%を超える増加を示しています。非正規雇用全体の大半は勤務時間の柔軟性や育児・家事の合間に家計を補助することを求めて自発的に選ばれているものですが、2割弱の方は正社員の職を求めても叶わず、仕方なく非正規雇用に甘んじている状態です。男性の場合はその割合は女性に比べて更に高く、約3割に達しています(表1)。能力・意欲と就業機会のギャップに悩む多くの有能な皆様はこのグループに属していると考えられます。これは企業・個人双方にとって不幸な事であり、社会的損失だと思います。

(図2)正規雇用と非正規雇用労働者の推移
(図2.正規雇用と非正規雇用労働者の推移)>>拡大画像はこちら
(表1)不本意非正規雇用の状況
(表1)不本意非正規雇用の状況 >>拡大画像はこちら

私がGOSの前身であり、現親会社でもある㈱ワタセとして業務コンサルティングサービスを始めたのは2008年、日本法人設立に貢献した外資系人材会社がリーマンショックの余波で日本を去った後の事でした。それ以来前職の人材紹介会社で目にした意欲・能力と就業機会のギャップをどの様に埋められるか考え抜いて参りました。ボランティアやNPOを立ち上げるのもひとつの選択肢でしたが、ビジネスモデルとして成立させ、成功させる事こそがより多くの方を成功に導く最善の方法だとの信念がありました。その答えがGOSプロジェクトなのです。

一般的には採用側として理想的なプロフィールはポジションを問わず以下の様なものです:

  • 能力と意欲が高い
  • 人柄が良い
  • 若い
  • 給料が安い
  • 転職歴が少ない

こういった採用する側のニーズと、転職経験の多いベテラン求職者とのギャップは大きく、容易には埋める事ができません。一方で出生率の低下、高齢化の進展で労働人口に占める採用側の理想的人材の割合は加速度的に減り、常に人手不足の状態が続いています。
この様な状況で、人手が足りていないポジションや役割、組織を外部から請け負い、経験豊富な人材がチームとしてサポートしてくれたらどうでしょうか?GOSは経験豊富なプロフェッショナルを正社員として雇用し、人手不足の会社を対象クライアントとして熟練のサービスを提供します。派遣社員とは異なり、最初の業務定義と定期的なレビューさえすればその他の事細かな管理指導は不要です。クライアント企業にとっては社員ではないので、職位の上下を気にせずに担当者レベルの仕事でも管理職・役員クラスの仕事でも空いた穴を埋めるのに柔軟に利用でき、期間もフレキシブルです。

一般的な転職・就職では敬遠されがちな豊富な転職経験が、こうしたサービスを提供する際には様々な企業文化・環境下での素早い適応力を生み出し、逆に大きな武器になるのです。また、GOS正社員として安定した雇用、プロフェッショナルとしての尊敬を勝ち得る事で、誇りを持った仕事に従事する事ができます。こうした新しいビジネスモデルを創出することで長期雇用を前提とする日本の労働慣行の柔軟な運用に寄与し、採用・求職双方のギャップを多少なりとも埋めて行く、これがGOSプロジェクトの本当の意味です。